「あ」 相づちの必要性

そもそも相手は、あなたに明白な意見などを求めていない?


このサイトの管理人のような、「目的のある会話」や「議論」が好きなタイプにとって、「中身のあまりない」他愛のない会話は、謎だらけです。


例えば私たち「目的のある会話」が好きなタイプが、人から悩みや愚痴を話されたら、自分の脳みそを総動員してその「解決策」そ考えはじめることが多いと思います。


しかし普段から「他愛のない会話」を好んでするタイプの方は、実はたとえ悩みや愚痴を話したとしても、相手になにか具体的な「アドバイス」を求めているわけではないのです。


そういう「他愛のない会話」を好むタイプの方は、相手に「アドバイス」などの「意見」を求めているわけではなく、感情の「共感・共有」を求めているからです。


もちろん、「なにかアドバイスがほしい」とハッキリと言ってきた場合には、相手の望み通りに助言や解決策を考えてあげるのが一番良いでしょう。しかし、そうでない場合に、わざわざ「アドバイス」をすると、かえってありがた迷惑になるだけでなく、「この人は私の気持ちをわかってくれない」という負の印象を与えかねません。


私のような「議論を好む」タイプの人間が、雑談のような“他愛のない会話”を攻略するには、その部分をよく肝に銘じておく必要があります。

意識しておかないと、つい私たちは自分の慣れた会話の仕方、「中身のある会話」をしようとしてしまうからです。


それでは、雑談を好む「共感タイプ」の人たちは、なぜわざわざ人に「悩みや愚痴」を話すのでしょうか。


人は、自分の気持ちや状況などを、改めて「言葉」で表現することによって、それらを整理し、癒やされ、解決策を思いつくこともできます。


そのやり方としては、例えばノートなどに書くこと。ブログ等に書くことでもいいでしょう。


実際に、「書くこと」によって、頭の整理がつけられた、という経験は、「議論タイプ」「共感タイプ」に関わらず多くの人にあると思います。


そして、もともと「人と内容の薄い雑談をすることを日常的にしている」人は、これを「人との会話」でしているのです。


“雑談が苦手”な人がわざわざ人と会話をする場面には、明白な「目的に沿った内容」が伴っています。けれど“雑談が好き”な人が人と会話をする場面には、単純に自分の感情を言葉にすることによる「癒やし」や「頭の整理」の効果を求めていることも多いのです。


そして、紙に書くことと違って、人と会話をすると、「気持ちを共有してもらえる」。「わかってくれた」という実感は、人間にとって「自分は孤独じゃないんだ」という安心感につながります。紙に書くよりも、癒やされるかもしれません。


そんな会話の場面で、私たちができることとはなんでしょう?

そういう会話の場面で相手に付き合う場合、会話内容について深く考えることは、あまり意味がないのでした。

相手をする「紙」である私たちが、なにか具体的なことをぐちゃぐちゃ言い出したら、相手は自分で自分のことを言葉で表現し、頭の整理をする機会を失ってしまいますから。

到底、「満足感」は得られません。


「それならば、壁にでも向かって話していればいいじゃないか」と思うかもしれませんが、それでは「人と気持ちや話題、場などを共有する」ことができないので、雑談が好きなタイプの方にはやっぱり満足が得られません。


それではどうするか。「具体的な意見も言わず、でも『共有しているよ』というシグナルを送る」には。


その答えは、相手の発言をを一個一個「受け止める」、「あいづち」です。



★あいづちって、難しい?


適度にあいづちを打つと、相手に「きちんとあなたの話を聞いているよ」というメッセージが伝わります。なので相手もより話しやすく、壁に話すのとは違い、「共有してもらえている」という満足感も得られます。


このとき、注意したいのが、「あなたの具体的な意見はいらない」ということです。

「いや、それは違うよ」「こうしなよ」とあなたが言い出したら、相手はじっくりと自分のことを言葉にして、癒やしを得ることができなくなってしまいます。


とりあえず、何の意見も求めないで、ただ単に相手が話したいだけのときは、「自分の感想、意見は一旦隅に置いておいて」、ただ相手の言葉をあいづちによって「受け止める」だけでいいのです。


さて、具体的にどのようなあいづちを打てばいいのでしょうか。人との会話がもともと苦手な私のような「コミュ障」は、無意識にうまいあいづちを打つ、ということは難しいかもしれません。


けれども、「知ってさえいれば」、あいづちを打つことはそんなに難しいことではありません。

今までさんざん述べてきましたように、「具体的な意見や感想」はいらないですから、頭を使う必要もありません。


必要なのは、知ることだけです。


知って、意識さえすれば、今すぐにでも実践できます。