「あ」 相づちを打とう

「そうですか」で相手の話を受け取る


今回は、『相づち』の一つ「そうですか・そうなんですか」についてです。


とつぜんですが、今回の内容に入る前に、ひとつ人とのコミュニケーションで大切な要素について話します。

それは、相手に「同調する」ということです。


「雑談が苦手」な方のなかには、「いや、…」が口癖の方がいます。相手が話した内容に対して、つい「否」と否定形で答えてしまうのです。


もちろん、「過去にムカデに噛まれたことがありますか」ときかれて、ないのなら「いや、ないです」と答えるのは自然です。むしろそういう経験がないのに「はい、」と答えたら、ただの嘘になってしまいますから。


ここでいっていることは、例えば相手が「僕はこう思う」というようなことを言ったときに、いちいちすべて「いや…」という始まりで答えていると、まるで相手はあなたに、自分のことを受け入れてもらえないような感じがして、あなたと話すのをだんだんつまらなく思ってしまうような場合です。


あなたも、自分の興味のある内容について人に話したときに、「いや…」とあからさまに「自分にはそういう話は興味ありません」というような反応をされたら、その人と話して「楽しい」という感じにはなりにくいと思います。


例えばこんな会話です。


例)『私、深夜にやってる美少女アニメが好きで、休みの日に平日録画して貯めておいたアニメをみながら、一人でお菓子を食べてマターリするのが至福なんですw。ところで、今期のアニメで何が一番好きですか?』


『いや…自分はあまりアニメとか興味なくて』


『……』



…少し例の話内容が極端すぎた気もしますが(汗)、このように、「否定的」に返事を返すと、せっかく相手が楽しそうに話してくれていても、雰囲気を盛り下げてしまうことになります。


ここで、「そうですか・そうなんですか」の形を使い、相手の話を受け止めるようにします。

「そうですか・そうなんですか」パターンで返事をすると、このようになります。


「そうですか・そうなんですか」パターンを使った例


例)『私、深夜にやってる美少女アニメが好きで、休みの日に平日録画して貯めておいたアニメをみながら、一人でお菓子を食べてマターリするのが至福なんですw』


 『へぇ…! そーなんだ。〇〇さんって、アニメ好きなんだね、意外!』


「へぇ…!」は、前回の「感情を込めたリアクション言葉」です。言葉に、少し顔の表情もつけて反応します。そして、「そーなんだ」が、今回紹介する「そうですか・そうなんですか」パターンです。

「そーなんだ」という表現は、「そうですか」に比べたら少し軽い表現ですが、これも前回までと同様、相手や場面に合わせて敬語→軽い表現へと変えているだけです。

そして、「〇〇さんって」が「名指し」、「アニメ好きなんだね」が、「~ですね」型(若干、「そうですか・そうなんですか」型のニュアンスも入ってる気がします)、そして「意外!」が、「感情を込めたリアクション言葉」です。


このように「そうなんだ」と、基本的に「一旦、相手の話したことを受け止める」ようにやりとりしていくと、相手も「受け入れてくれている」感じがして、とても話しやすくなります。


この後、相手によっては『えー、意外ですかね』というように返ってきたり、『そうなんです、めっちゃ好きなんです。〇〇さんはアニメとか普段観ます?』というように返ってきたり、いろいろでしょう。

もし、相手のほうがあまり雑談上手でなければ、こちらの相づちの内容にかかわらず、このように返ってくるかもしれません。


先ほどのやりとりからの、続きです。


例)『へぇ…! そーなんだ。〇〇さんって、アニメ好きなんだね、意外!』


『ところで、今期のアニメで何が一番好きですか?』


…と、このように、なかにはこちらがそのことに知識があるかないかも知らなままで、自分の知識だけをベースにして会話を進めてしまう方もいます(紛れもなく、以前の私です…)。

そんな相手とは、少しやりとりがしにくいものですが、少なくとも「そうなんだ」と受け止めたことによって、相手が自分と、より話しやすい状態をつくれたということなので、喜んでおきましょう。


ちなみにこの後どう返事をするかと考えてみますと、「今期のアニメを知らない」は、「ムカデに噛まれたことがない」と同じですので、「否定」しても変ではありません。


例)『ところで、今期のアニメで何が一番好きですか?』


『いや…それが、実はあまりアニメに詳しくないんだ。〇〇さんは詳しそうだね、逆にどんなのがおすすめ?』


まずは「実はアニメに詳しくない」とこちらの事実を伝えて、それだけでは会話が途絶えてしまいますので、「パターン」を使って会話をつなげていきます。

「〇〇さん」で名指し、「詳しそうだね」は「~ですね」型、「逆にどんなのがおすすめ?」は、「ど~?」型です。


こういう風に、相手の話す内容に知識や関心があまりなくても、「パターン」で雑談を成り立たせることが十分に可能です。


今回のパターン「そうですか・そうなんですか」のポイントは、「相手の興味・関心・考えを頭から否定しないでまずは受け止める」ということにあります。

これは、「相手の考え方や好みを全て受け入れなくてはいけない」ということではありません。先ほどの例の場合で、「アニメ」のことについて話していますが、本当にあなたがアニメを同じように好きにならなくてはいけないとか、そういうことではないです。ただ、「この人は、こうなんだ」と受け止めるだけでいいのです。そして、心では「あまり興味がない」と思っても、それをバカ正直に口に出して相手に伝える必要もないのです。


ちなみに、相手が話す内容について一緒に合わせて話すのが本当に苦痛の場合は、無理にその話題を「感情を込めたリアクション言葉」などを使って盛り上げることをしなくても大丈夫です。

例えば、「人の悪口」などがそうです。

もしあなたが「そのことについて話したい」と思うのならば、話してもまったく問題ありませんが、「かえって話すのが苦痛、その悪口にまったく賛同できない」場合は、そのことについての話題を続けなくてもいいです。

ただ、「いや、私はそう思わない」と、わざわざ口に出して否定するのではなく、「そうなんですか…そんなことがあったんですか…」というように、否定も賛同もしないで、相手の話を受け止めるだけでいいのです。

そのあと、「ところで、…」と、他の話を振って話題を変えるといいでしょう(「~ですね・~ですよね」型が、話題を変えるのに使いやすいと思います)。


さて、今回「そうですか・そうなんですか」で相手の話をうけとめる相づちについて説明したわけですが…。


ここまで記事の、「名指し」「~ですね・~ですよね」「どー?」「感情を込めたリアクション言葉」「そうですか・そうなんですか」の5つを駆使するだけでも、だいぶ会話がしやすくなると思います。


試しに、一人でメモ帳などに会話例をつくってみてください。もちろんあまりに「パターン」だけにとらわれすぎる必要もなくて、自然にセリフが浮かんできたら、そのセリフもどんどん取り入れていっていいのです。あくまでも「パターン」は、「何をどう話したら間が埋められるのかぜんぜん思いつかない」ときの補助ですから。実際の会話で使えるセリフがぱっと思いついたら万々歳なのです。


ここで1つ、私が好んでやる練習法を紹介しましょう。

実は私自身も例文の人のようにアニメ類が好きで、特にいろいろな二次元のキャラクターが好きになります。

自分の好きなキャラクター同士を使って、その二人が会話している「妄想」をするのです。

もちろん、あえて「会話のパターン」を組み込んだ会話です。そうすると、楽しいだけでなくかなり雑談のトレーニングになります。

二次元のアニメキャラクターでなくても、なんでもいいので、架空の「会話」を一人二役で考えて練習をしてみてくださいね。