「す」 推測する

「それならきっと~じゃない?」


今回は、さらに雑談をスムーズに楽しく「盛り上げる」ためのコツを取り上げていこうと思います。


それはズバリ、「推測する」ことです。


「んん? 推測? なんだそりゃ、探偵じゃあるまいし、雑談となんの関係が?」


と不思議に思われて当然です。もっとわかりやすく言うと、こういうことです。


「それならきっと~じゃない?」という形のセリフを、雑談に取り入れることです。


何気ない雑談の場に、「推測」の要素を入れて、さらに会話内容を広げて、面白くしていくのに役立ちます。

今回も、試しに会話例をつくってみましょう。


「それならきっと~じゃない?」の形を使った会話例


例)

A「私、甘いものが大好きで、難しい仕事が終わったあととか、自分のご褒美にケーキ屋さんでケーキを買ってきて、一人で食べたりするんです」


B「へ~! そうなんですか。でもそれ、わかります! あえて一人でこっそり食べるのが、いいんですよね(笑)」


A「そうそう(笑)」


B「…あ、それならもしかして、駅前の〇〇っていうケーキ屋さんご存じですか?」



今回は、女の人同士の気楽な雑談をイメージしてつくってみました。


さて、一つ一つみていくと…

最初に相手の人が、「私、…」と、自分のことを話しています。このあと、コミュ障の人だと「はぁ…(自分語り乙)」という感じで返して、会話が途切れてしまうかもしれませんが、大丈夫、もういままでのいくつかの「セリフの形」を知っています! それを使って、会話をつなげていけます。


「へ~!」と、まずは「感情を込めたリアクション言葉」です。そして「そうなんですか」と受け止めます。

その後の、「でもそれ、わかります!」は、アレンジです。広い意味で考えれば、「相手の話を受け止める」のがポイントの「そうですか・そうなんですか」に似ています。

あと、「感情を込めたリアクション言葉」の要素もあるかと思います。

このように、形だけに縛られなくても、ぱっと思いついたセリフは使ってもいいのです。もちろんまったく思いつかなくても、形だけでも十分雑談できますので安心してください。


続けます。


「あえて一人でこっそり食べるのが、いいんですよね(笑)」と、「~ですね・~ですよね」の形で、相手に同意を求めます。そして今回は相手も「そうそう(笑)」と話を合わせて同意してくれました。


雑談苦手さんだったら、ここで「いや、そうじゃなくて…」と否定してしまうかもしれません。コミュニケーションが元々苦でない方が、わかっててあえて否定するならいいのですが、「雑談が苦手」の意識のある方があえて難しい方にチャレンジする必要はないです。



相手の「そうそう(笑)」を受けて、いよいよ今回の記事のメインセリフです。


「…あ、それならもしかして、駅前の〇〇っていうケーキ屋さんご存じですか?」


これが、「それならきっと~じゃない?」の形を使った文です。


ぴったりと文字通り「それならきっと~じゃない?」になってはいませんが、ニュアンスで感じ取っていただけたら。

要は、相手の興味・関心を受けて、「それなら…」と「推測」して、「もしかして」の話を振るのです。

今回は、相手がよくケーキ屋さんでケーキを買うとのことだったので、「もしかして駅前のケーキ屋さんを知っているかも」と推測してきいてみました。


この「それならきっと~じゃない?」のセリフの形を使うことのなにがいいかというと、これを会話に取り入れることで、こちらがより積極的に関心を持って、相手との会話を楽しんでいる、という雰囲気が出るところです。


この「それならきっと~じゃない?」の形は、どちらかというと応用なので、今までの形よりも若干取り入れるのにハードルが高いかもしれません。「発想力」などが多少必要になってくるからです。


けれども、これもそこまで難しく考える必要はなく、むしろ「もうすでに最低限はわかっているから、別に無理に会話に組み込もうとしなくたっていいんだ」という姿勢でいてもらっても大丈夫です。

「余裕がでてきたら」で、いいんです。そもそも、「雑談が苦手」なタイプの方にとって、こちらから話を膨らませるというのは、勇気のいることなのです。私もいまだに、このセリフの形は「無意識に口からでてくる」というレベルまではいっていません……。


それでも、この「それならきっと~じゃない?」、うまくはまれば相手との関係に「かなーり」有効に働いてくれますので、知っていて損はないし、ぜひ試してもらいたいです。


先ほどの例だと、「…あ、それならもしかして、駅前の〇〇っていうケーキ屋さんご存じですか?」というかたちで、相手に推測を込めた言葉を投げかけました。そのあと、どうなるでしょう。

もし相手がそのケーキ屋を知らなかった場合、あなたはそのケーキ屋さんのケーキががすごくおいしくておすすめだということを話せるかもしれませんし、あるいは「めちゃくちゃ個性的な髪型の店員さんがいるお店」として笑い話にすることもできるかもしれません。あなた自身、「駅前の〇〇」というケーキ屋さんを思い出した時点で、そのケーキ屋さんについてなにかしら話題があるはずですから、それを話せばいいのです。「この間雑誌で見て知って、一度行ってみたいと思っていた」のなら、そう話せば、相手は「じゃあ今度一緒に行ってみよう」となるかもしれません。


いずれにしろ、その雑談が盛り上がっているのは確かです。


逆に、相手もそのケーキ屋さんを知っていた場合も、同じことです。「知ってる! すごい有名なところだよね!」というようになったり、こちらの場合もお互い共通の話題を共有できるわけですから、話が盛り上がります。


このように、「それならきっと~じゃない?」を会話に取り入れると、とたんに相手との距離が縮まりやすくなります。「心から楽しいと思える」雑談へもっていくための一つの方法は、「共通の興味関心を話題にすること」です。自分も相手も「話したい!」と思う話題をあげることで、お互いの関係性をより親しみやすいものに変えることができるのです。



……ただ、これ、必ずしもこちらが相手の話題に興味がなくてもいいのです。今のケーキ屋の例でいうと、たまたま「駅前の〇〇」を知っていただけで、そもそもそこまで甘いものが好きじゃないという場合でも、問題はないのです。

確かにこちらは興味のない話題のわけですから、あまり楽しくはないかもしれません。しかし、相手は「自分が出した話題に対して、積極的にのってくれた」というだけで、あなたに好感をもつものです。


例えば、あなたが、ケーキ好きな女の人を好きな男の人で、彼女と楽しく会話して、よい関係を築きたい場合、あなたが彼女と同じようにケーキ屋に詳しくなくても、まったく問題ありません。「会話のセリフの形」を駆使し、積極的に「あなたと話していて楽しい」という雰囲気をつくっていけばいいだけなのですから。


そもそも、人とよい関係を築くのに、会話の内容自体はあまり重要ではないのかもしれません。大切なのは、相手に「この人は自分の話を否定しないで聞いてくれるし、関心をもってくれるから、話しやすい」と感じさせることなのだと思います。

さらに、「いつも向こうから話しかけてくれる」とか、「いつも笑顔」とかの印象が加われば、最高です。


慣れないことをするには、「ちょっとの勇気」が必要です。今まであまり積極的に人と雑談しようとしてこなかった方なら、なおさら緊張したり不安になってしまうのは当然です。


それでも、そんなときは「すこし緊張しやすくて…」と相手に伝えてしまえばいいです。あえてこちらの弱点を素直に告白するのも、相手に親しみやすさをもってもらうのには効果的だったりします。


「あどどきす法」と、「あなたの素直な感覚、個性」、2つを生かして、チャレンジしてみましょう!


この記事の最後に、「それならきっと~じゃない?」の形の例文をいくつか書いて、終わりにします。


「それならきっと~じゃない?」を使ったセリフ例


例)相手が映画好きの場合

・それなら、もちろん来週公開の〇〇も観にいくでしょ?

・『〇〇』みたいなホラーが好きなら、『□□』も好きそう!


相手が「旦那が浮気していて…」と話した場合

・それなら、旦那さんの携帯に着信とかが来るだけで、いちいち気になっちゃうでしょう…


相手がゴールデンウィークにディズニーランドに行ってきたと話した場合

・きっとめちゃくちゃ混んでたんじゃない?


初めての過呼吸発作を経験した患者さんに対してのお医者さんの返答として

・きっとすごく怖い思いをしたでしょう…